第23回　タロット占い師のいる、とある占いの館

以前、占いの館で占ってもらった時の話です。雑誌などでよく紹介されていて、けっこう有名な女性の占い師さんで、予約を取るのもかなり大変だった覚えがあります。その占い師さんは、料金は30分5000円と思ったほど高くはないし、「当るようなら通いつめちゃおうかな」などと考えていました。これまでにも占いは色々としてもらったのですが、当らなかったり遠かったりで。占いに少々依存している私としては、何かあったらすぐにみてもらえるような、信頼できる占い師さんが欲しかったのです。

予約時間より早めに到着して、受付も済ませて、ちょっとドキドキしながら待合室に入ったのですが、私の2人前の方をまだ鑑定してらっしゃる最中でした。聞くところによるとすでに1時間ほど経っているようです。でも、部屋の中からは楽しそうな笑い声が何度も聞こえてくるので、なんだか気さくな占い師さんのようだと安心して待つことにしました。たしかに雑誌でもそういう印象を受けていたので、少しぐらい待つ価値はあると納得したのです。

ところがそれから待つこと50分、待ちくたびれ頃にやっとその方の鑑定が終わり次の方が呼ばれました。これからまた30分は待たなければいけないのか、とさすがにゲンナリしましたね。ですが、次の方は10分ぐらいで部屋から出てこられました。その前の方は、帰る時に次の予約を確認してらしたのに、その方は予約を取ることもなく無言でサッサと帰ってしまったのです。そういえば、部屋の中からは笑い声どころか話し声も聞こえてきませんでした。あまり良くない結果だったのかなとか、30分より短い場合でも料金は同じなのかなとか考えてしまいました。この鑑定にかかる時間の差はどういうことなのか、少々不安を感じながらもとにかく部屋へ入りました。

占い師さんと向き合ってみて私がまず感じたのは、とても気さくとはいえない雰囲気だということです。それが表情に出てしまったのでしょうか、私の方を一瞬だけみて、ニコリともせず無表情のままタロット占いを始められたのです。これまでのように最初に色々と聞かれるだろうと思っていたので拍子抜けしましたが、占い師さんによって違うのかもしれないと思い黙っていました。そしていざタロットカードをテーブルに広げる前になって、やっと何を見て欲しいのかと聞かれました。これといった悩みがあったわけではないので、自分と旦那のことや仕事のことなど漠然とした質問しかできませんでしたが。

そこは、占い師さんがタロットカードをきって、指定された枚数を私が抜き取りそれを占ってくれる、そういう流れでした。ところがそのカードがボロボロで、おそらく何年も愛用してらっしゃるのでしょうが、思うように抜き取ることができないのです。1枚取るつもりが2枚取ってしまったのです。これではちゃんと占えないんじゃないかと心配したのですが、当の占い師さんは無表情のままその中から1枚を選ばれました。それって、私が選んだことになるのでしょうか。それとも、それもまた運命なのでしょうか。

テーブルにカードを並べてからも、表向きにしながら向きを変えてまた並べ直すんです。私自身タロットカードを専門的にやったことはありませんが、たしか表向きにしたあとは触らずに、そのカードの向きによって意味があるのではなかったでしょうか。上向きと下向きでは意味が真逆だったような覚えがあるのです。この時点で、この占い師さんに対する信頼は薄れていました。もっとも、第一印象があまり良くなかったのと、何を占ってほしいかと聞かれた時以外は一言も喋らないこと、今では無表情どころか仏頂面をしていることで、すでに後悔しはじめていましたけど。

そしてやっと占いの結果を話しだしてくださいました。思った以上にきつい内容と言い方でしたね。「あなたは優柔不断ね」「あなた達、ぜったい離婚するわよ」「本当にやりたい仕事をしてないでしょ」などなど。優柔不断というのは初めて言われましたが、いつでもどんな場面でも即座に決断できる人間とは言えないので、まぁ当たってるうちに入るのかもしれません。離婚に関しては、何年後とは言われなかったのでいつかは当るのかもしれませんが、まだしていません。本当にやりたい仕事をしていない、そういう人って世間にはたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。というか、自分が本当にしたい仕事ができる人の方が圧倒的に少ないのではないかと思います。なんともリアクションができずに苦笑いしていると「ほら、優柔不断だからそうやって笑ってごまかすのよ」とのダメ押し。なんのアドバイスもいただけないまま、私も15分ほどで終わりました。もちろん規定の料金はお支払いしましたよ。

自宅に帰ってから、その占い師さんの口コミを検索してみたのですが、相性が大きく左右するみたいなことが書いてありました。つまり、その占い師さんと相性が合わなければ全然当らないということらしいです。私は相性が合わなかったんだ、そう思いたいですね。そういえば、他の占い師さんでもそういう方がけっこうおられました。こういう世界ではそれも重要なのかもしれません。レントゲンやMRIのように形として見えるものではありませんから。やはり、自分に合った占い師さんを見つけるのが大切なのでしょうね。そう考えながら、いまだに占い巡りをしています。