第34回　開かれた未来について教えてくれた占い師の先生

私は仕事の悩みを抱えていました。入社して1年、頑張ってきたのですが、スタートで少々躓いたことがきっかけで、上司に目をつけられるようになったのです。一度、データの数字を打ち間違えたことをクライアントに指摘されたことがあり、そのことを今でもネチネチ言ったり、期限の短い大量の案件を押し付けてきたりします。おまけに同僚や先輩にもさけられているような気がして、会社を辞めようかどうしようか迷っているのです。そこで、占い師の先生に鑑定してもらおうと思いました。ネットで見つけたのは、仕事や人間関係の鑑定について評判のいい“◆◆の母”（◆◆は地名が入りますが、伏せさせてください）と言われる占い師の先生でした。その方は占星術に加えて、霊視で今の状態と未来を見てくれるとのことでした。

夕方17時過ぎ、雑居ビルが並ぶ一角に、占い師の先生はいました。閉店しているお店の前に小さなテーブルとイスが置いてあり、テーブルの上に占いと書いたランプが置かれていました。テーブルの両脇は簡易的なパーティションで仕切りを作っていました。すでに先客がいて、占いの最中。パーティションの外に２つ椅子が置いてあり、そこがウェイティングスペース。ひとつの椅子は私とあまり年が変わらないであろう、若い女性が座っていました。

チラリと見えた占いの先生のお顔は菩薩のように優しそうでした。そのとき、とてもホっと安心したのを覚えています。私は初めての占い鑑定に少し緊張していましたが、先生の前に座ったら不思議とフっと気持ちが軽くなりました。カードに生年月日を記すと、先生は「どうされたのかしら？お話ししてちょうだい」とやさしく声をかけてくださり、普段は人見知りする私ですが、気付いたらペラペラと自分の仕事上の悩みを先生に打ち明けていました。そして「自分には会社に味方はいるのか、仕事を辞めた方がいいのかどうか」ということを先生に鑑定してほしいと告げました。

先生は私の手をギュッと握って私をじっと見つめました。そしてこう鑑定してくださいました。「あなたは山羊座でしょう。真面目で石橋を叩いて渡るタイプね。そしてちょっとスロースターターなの。最初にミスしても、慎重なあなたは同じミスは2度起こさないタイプ。そして時間を追って実力を発揮してくる人なのよ。でも上司はそのスタートのミスを叩いてしまったから、あなたは委縮して、実力を発揮できなくなってしまい、1年経ってしまったのね。頑張れと応援してくれていたら、あなたは今頃、部署のエース候補になっていたかもしれないわ」私は先生にそう言われて、とてもうれしく、ちょっと自信を取り戻すことができました。続けて先生はこう言いました。

「あなたの未来を見てみると、笑顔で働いている姿が見えるの。紺色と白の制服らしきものを着ているわ。会社のかしらね」私はそのとき、自分は転職することに気付きました。今の会社は私服だからです。「おそらく今の会社にあなたの味方はいないと思うわ。その上司が君臨していて、部下はみんな顔色伺っているんじゃないかしら。あなたの味方をしたら、自分も嫌味を言われたり、無理難題を押し付けられたりするから、味方になれないのよ。このままその会社にいたら孤立してしまいそうね」

私は納得しました。仕事内容は気に入っていたので辞めることに足踏みしていたのですが、鑑定結果を聞いて、晴れやかな気持ちになりました。先生は「顔色と表情がよくなったわ」と私に菩薩の微笑みをかけてくれました。この占い先生の所に来て良かった！とても晴れやかな気持ちで席を立つと、ウェイティングスペースは長蛇の列！先生の温かな微笑みと的確な鑑定なら、人気も納得です。さすが“◆◆の母”。また人生に迷ったら、この先生のもとへ来ようと思います。