「当てものではありません。」これは口コミ評価とお客様の指名率が高い人気の占い師が、マスコミの取材で言うのを時折耳にする言葉です。この言葉が出るのは、大抵取材する側から理不尽な鑑定をするよう強要された時だと聞きます。占いや霊感霊視を、面白半分に安いエンターテイメントのネタにされることに怒りを覚えるのはもっともです。しかももし外した場合、徹底的に笑い者にするか稀代の詐欺師のように叩くつもりなのですから。
このようなマスコミの質問とはニュアンスが違いますが、実際にお金を払って鑑定を受ける側からすれば、自分が受ける占いや霊感霊視が当たるかどうかは大きな問題です。自分の人生がかかっているのだし、当たりもしないものにお金を払うのは真っ平と思うのは当然のこと。だいたい占いの口コミサイトでも話題に上るのは、大抵占い師や霊能者が当たるかどうかなのですから。
さて、占いも霊感霊視も「当たってなんぼ」の世界。はずすことは利用者の落胆や怒りはもちろん、占い師や霊能者にとっても大きな失点であり恥でもあります。でもこの「占いや霊視がはずれる」というのにも、実はいくつかのパターンがあるのです。ちなみに占いや霊視のはずれとは、親は亡くなっているのに「親御さんは元気ね」と言われるなど、明確な事実が当たっていない場合と、相談者が言われたことに対して「違う」と感じた、というあくまで相談者の主観によるものとの2つのパターンがあります。
まずはずれパターンの第一は、本当にはずれているケース。タロットや易なら出ているカードや卦が滅茶苦茶、四柱推命や西洋占星術なら解釈がまるでなっていないなどです。占い師や霊能者のコンディションが悪かったという場合もありますが、占う側の能力不足が大きな原因と言えそうです。
でもこのはずれにも、原因が占う側の能力以外のいくつかのパターンがあるのです。たとえば相談者がAという男性とのことを質問しているのに、鑑定が始まるとBという男性の話をしだす。あるいはBのことを強く考えてしまったという場合。占いの結果がAではなくBとのことが出てしまうことがあります。これは占い師が優秀だったとしても、タロットではよくあることなのですが、霊感霊視でも起こりうることです。つまり相談者がその時強く思ったことに対して霊視が働いてしまうわけです。
また四柱推命や西洋占星術の場合、自分の生年月日を間違える人はまずいませんが、相性などを見てほしい相手の出生データが間違っていた、というケースが時折あります。これでは正しい鑑定結果が出るわけありませんね。
以下に挙げるはずれのパターンは、相談者の側に問題がある場合、つまり本当は当たっているケースです。まずは相談者が言われていることに自覚がない、気付いていない場合。電話占いでは本人の相対運や性格の鑑定依頼はまずありませんが、恋愛の鑑定で本人や相手の性格や行動パターンをからめて見るのはよくあることなのです。その場合にありがちなのが、占い師や霊能者に「あなたは~なタイプですね」と言われて、相談者が「違うな~」と首をひねる流れ。もしこれが対面鑑定で付き添いの友達などがいれば、「大当たり!」といった風に、横で頷いているかもしれませんが。
人間は自分のことが意外と見えていない、わかっていないものなので、これはある程度仕方ないことなのかもしれません。自己イメージから外れる物はシャットアウトしたくなるのも、ある意味身勝手とは言えわからなくもありません。でもこれで「あの占い師は、霊能者は当たらない」などと評価するのは、必ずしも正当ではないと言えるでしょう。むしろこういう相談者は、「おいしいことだけ言う詐欺のような占い師にカモられないよう気をつけて」と思ってしまいます。
言葉一つで「はずれている」になってしまうケースもあります。たとえば恋愛相談で相談者の異性関係の乱れがネックになっている場合。そのことを「あなたは恋多き人」とか「恋愛至上主義」と言えば「当たっている」になりますが、「男性依存では…」や「異性関係がルーズ」という言葉を使うと「はずれている」と感じるわけです。つまり似たような意味でも、本人にとってネガティブなニュアンスの言葉になると、はずれにされてしまうのです。
勘違いの例として、いざという時、人に助けてもらえる運を持っている相談者に「あなたは人からの援助が受けられますね」と占い師が告げたとします。そういうところから恋も発生しやすいと占い師は言いたかったのですが、相談者は「私はそんないやらしいことはしません」と激怒してしないとも限りません。相談者は“援助”という言葉を、援助交際つまり売春と捉えてしまったのです。少々大袈裟な例ではありますが、こうなると鑑定する側としては、無知な相談者を恨みたくなってしまいますね。
さらなるはずれのパターンは、相談者が嘘をついている場合です。実は困ったことに、思ったよりこのケースは多いと現役占い師も言っています。たとえば不倫をしている、二股をしているなど相談者が触れられたくない、恥と思っていることを占い師や霊能者が指摘した時にこうなる傾向が多いようです。相談者だって本当は当たっているのはわかっているわけです。それなのに対外的に「あの占い師は、霊能者は当たらない」と言われるのはたまったものではありませんし、ことに有能な霊能者は困り果ててしまうでしょう。霊視で相談者が嘘をついているのがわかっていても、そのことを指摘すると相談者が怒って「鑑定で非礼な態度を取られた」とクレームをつけられることだってあるからです。
鑑定をする側が言うと言い訳がましく聞こえてしまいますが、こうして見ると占いや霊感霊視の本当のはずれは実は少ないことがわかると思います。もちろんこれは一律な割合ではありませんし、占い師や霊能者の腕が悪ければ「本当のはずれ」の方がずっと多くなります。
自分の未来を正しく当ててもらうためには相応の腕を持った、あるいは悩みの分野に強い占い師や霊能者を選ぶことが第一。でもその上で本当は当たりなのに「はずれ」としないよう気をつけていただきたいものです。せっかくの鑑定がもったいないですからね。