日本人にとってなじみ深い「血液型占い」。「ABO式」という血液の分類方法によって、人間の性格をA型・B型・O型・AB型の4種類に大別する占いのことです。2008年頃にはそれぞれの血液型の説明書が出版されて大ヒットしました。そのため、占いに興味がない人でも、一度は自分自身の血液型と性格を照らし合わせたことがあるのではないでしょうか。
では、血液型占いは本当に当たるのでしょうか? もちろんブームが起こったということは、誰もが自分の性格と説明書を「あるある」と共感して読んだことに他なりませんが、たくさんいる人間をたった4種類で区別できるのかという疑問の声も少なくないのです。
日本で最初に起きた血液型占いブームのきっかけは、1977年に作家の能見正比古氏が出版した『血液型エッセンス 性格と人間関係の実用百科』だと言われています。能見氏は、血液型と行動や性格の傾向の膨大なデータを集計し、分析と観察を繰り返しました。その結果
血液型と個人の性格には密接な関係があると明らかにしたのです。この書籍が発表されて以降、血液型の研究は盛んになり、雑誌やテレビでも数多く取り上げられました。こうして何十年もかけて、私たちの間で「A型だからマジメ」「O型だからおおらか」など、個々の血液型と性格のイメージが刷り込まれていったのです。
結論から言うと、いくら統計学で算出したデータをもとにしているとはいえ、人間の性格をたった4種類だけで分類するにはやはり大ざっぱであると言えます。血液型占いをやってみて、「この部分は当たっているけど、こっちは当てはまらないな」「自分はA型だけど、B型の性格の方が当てはまる項目が多いな」などと感じたことはありませんか? 人間の性格は育つ環境や周囲の人々の影響でいかようにも変わります。そのため、すべての人間を4つの型に押し込めることなどできるはずがないのです。ただし、血液型だけではなく、12星座や干支など、他の占いや心理テストなどと組み合わせている場合は、ある程度の信ぴょう性は得られるでしょう。
余談になりますが、世界に目を向けてみると、日本ほど血液型占いが好きな国はありません。中には自分の血液型を知らないという国民が大半という国や、人権意識の高い国では、日本のように他人に血液型を聞くことは失礼に当たります。
日本でここまで血液型が浸透したのはある理由が考えられます。それは、日本人全体の血液型の割合が比較的バランスよく分かれていること。日本人はA型が最も多く約40%、O型約30%、B型約20%、AB型約10%です。一方、世界人口で見てみると、O型が最も多く約45%、次いでA型が約40%、B型約10%、AB型約5%と、日本よりも偏っています。中には、国民の大半がO型という国もあるくらいです。これほど国民の血液型がバランスよく分かれている日本では、クラスの友達の血液型と比較して楽しんだり、会話がはずむ話題の一つとして積極的に取り上げられ、徐々に人々の間に浸透していったのだと考えられます。